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  • 2009.04.04 Saturday
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くんちゃんのだいりょこう

評価:
石井 桃子,ドロシー・マリノ
岩波書店
¥ 1,050
(1986-05)
くんちゃんのご両親は私にとって親としてのお手本です。
分厚い育児書より、一冊の絵本!かもしれません。

(第七回)9月27日(土)掲載分

 

 四年に一度のオリンピックも終わり、暑さもやわらいで過ごしやすくなりました。
私はこの夏、勝手にオリンピック選手になったつもりで、締め切りと闘っていました。一仕事終えた瞬間は「自分で自分をほめたい」気分になるものです。思わず万歳をしてしまいまた。

 日本中の誰もが感動したのが、女子ソフトボールの金メダルです。

 実は娘が中学の時に二年間、ソフトボールをやっていました。「なぜか私に『おめでとう』っていうメールがいっぱい来るんだよね。」と笑いながらもうれしそうな彼女。でも、途中でやめてしまったことを少しだけ後悔しているようです。
 好きではじめたことでも、いざやってみたら想像とちがっていたり、そのこと自体は好きでも、仲間との人間関係がうまくいかず、やめてしまった・・・という経験は、誰にでもあるでしょう。
 娘はソフトボールを辞めた後は卓球部、高校に入ってからはバレーボール部に入りましたが、どれもいろんな事情で三年間続けることができなかったのです。ただ、やめたことで別の道が開けたのも事実ですし、やっていたからこそ得られた経験はかけがえのない宝物になりました。
 これもいつか出会う「好きなもの」探しの旅の途中なのでしょう。
 これからも「少しの後悔」は持ったままで、失敗を恐れることなく「好奇心の扉」を開けて欲しいなと思うのです。たとえ親の反対を押し切ってでも、自分がやりたいことは自分で見つけるのが一番です。(だけど、失敗したら何度でも泣きに帰って来てね。)
  
 高校生の頃、病床の祖父が私を寝床に呼んで言いました。
「ももちゃんは、一番好きなことをやりなさい。」
 祖父の言葉は本当にそれだけで、当時は意味がよくわかりませんでした。この言葉の意味は本当に好きなことに出会ってはじめてわかったように思います。
 本当に好きなことはきっと、たくさんの扉の向こうで待っています。

 とりあえず一生懸命勉強しておけば将来の道が開けている、というのは本当でしょうか。進路を決める上で、やりたいことが見つからず、がんばろうという気持ちが出ないという子の話を耳にすることも少なくありません。生きていくために必要なのは、紙の上の結果ではなく、たくさんの体験と、困難や失敗を乗り越える力です。

 「くんちゃんのだいりょこう」(ドロシー・マリノ文・絵、石井桃子訳、岩波書店)は私の大好きな絵本です。
 好奇心旺盛なくまのくんちゃんは、おおらかな両親に育てられ、きっと好きなことを見つけて、魅力的な大人のくまになったにちがいありません。

トトとライヨじてんしゃのれた!

評価:
さこ ももみ
アリス館
¥ 1,470
(2008-07)
自作の絵本で恐縮です。シリーズになる予定です。
絵本ができる途中でこの絵本を見ていただいた、このあの館のちいさなお客さまと、フレーザー幼稚園のみなさんに感謝します。

(第六回)8月30日(土)掲載分

 
 ラジオ体操通いの子どもたちの声は「夏休み」の象徴です。中にはまだ眠いのにたたき起こされたらしい子もいて、その泣き声はちょうどいい目覚まし時計になります。泣き声はひきずられるようにし小さくなり、やがて公園のせみ時雨の中へと消えていきます。かわいい声でどんなに泣き叫んでも、まだまだ親にはかなわない年齢です。

 子どものころ、「なぜ私がこんなことをガマンしなくちゃいけないの?」と思ったことは、誰にでもあるのではないでしょうか。「よその家の子になりたい」とまでは思いませんでしたが、わが家はかなり厳しい家で、友達の間でもちょっと有名でした。

 帰宅時間は厳守、駄菓子屋さんのお菓子も禁止。「危ないから」と言う理由で、自転車を買ってもらったのも五年生になってからです。小学校の卒業時にクラスのみんなに遊園地に誘ってもらっても、参加することはできませんでした。「明日の朝モモちゃんちに行って、家族の人にお願いしてあげる!」そう言って来てくれた友達も、玄関先であえなく撃沈でした。

 われながらよくグレなかったと思うのですが、大人七人を敵にまわしては、やはりこの家ではとても生きていけなかったでしょう。

 中でも陣頭指揮をとっていたのが、三人いた叔母のうち真ん中の叔母でした。

 ところがこの叔母は自分のことはまったく二の次で、私たちを本当に大事にしてくれていました。

 楽しい思い出もたくさんあります。叔母が退職してから一緒に自動車の運転免許もとりました。六十歳を超えた女性が運転免許の講習を受けていたので、教習所ではちょっとした話題になっていたようです。

 そんな自分のことはほったらかしで働き続けてきた叔母が、念願の免許をとって数年しかたたないうちに亡くなり、毎日つけていた日記が出てきました。
「百美のことばかり書いてあって、あなたにはとても見せられない」と、一番下の叔母に言われました。
 私が広島に嫁いでからやりとりしていた手紙でさえ、未だに読み返す勇気がありません。叔母のおかげでガマン強く育ったかどうかは別として、今でも壁にぶつかった時は叔母だったらどう言うか、写真を見ながら答をもらっているのです。

 「トトとライヨ じてんしゃのれた!」(さこももみ作、アリス館)には、六人家族と六匹のぬいぐるみが登場します。自転車にはじめて乗れた時は、大きな仕事を成し遂げた気分でしたが、五年生にもなって自転車に乗る練習をするのはとても恥ずかしかったことを主人公に重ね合わせて書きました。二年越しの絵本制作にガマン強くおつきあいいただいた編集者さんに感謝します。

あかいセミ (えほんのもり)

評価:
福田 岩緒
文研出版
¥ 1,260
(2006-07)
子どもを失敗から遠ざけようとする親心が、困難に立ち向かえない大人をつくっているのではないかと思うことがある。

(第五回)7月19日(土)掲載分

 
 梅雨があけて、今年も暑い夏がやってきました。夏が来ると食欲も徐々に落ちていきます。牛肉、ウナギ、高級料亭・・・そんな言葉を聞いても最近は食欲がわかなくなりました。これは夏のせいではありません。大人の「嘘」は笑ってすませられないことばかり。何を信じていいやら、まったくわかりません。それに比べると、こどもの「嘘」はかわいい想像力でできています。

 「お母さん、僕みんなに嘘ついちゃった。」2年生の息子が神妙な面持ちで話しだしたことがありました。子どもなりに罪悪感を抱えて過ごしていたのでしょう。いったい何の嘘だったのか、「怒らないから言ってごらん」と訪ねたところ、息子の答えは「うちの押し入れにドラえもんがいるって、みんなに言っちゃった。」

 友だちがドラえもんを見にわが家に押しかけたらばれる!そう思ったかどうかはわかりません。大笑いをしたい気持ちを必死に抑えて、息子をなぐさめたような記憶があります。

 嘘をついている時の子どもは、目が泳いだりオドオドしたりして、大人にはすぐに見破られてしまうことが多いのですが、中には親の目を上手にすり抜ける嘘もあるものです。息子が二十歳近くなってから、「実は・・」と話したいくつかの嘘や悪事は、私がまったく気づかなかったことばかりでした。習い事を時々さぼっていたことや、午後11時すぎまで塾で勉強しているふりをして、真夜中の公園で友だちとサッカーをしていたことなど。見事にやられたなあと思う気持ちを悟られないようにして、「そんなことだろうと思ってたよ。」と私も嘘をついてしまいました。本当は見破れなかったことが、ちょっとショックだったくせに。

 「『うちの子に限って』なんて思うほど親バカじゃいないからね。」私はそう言い聞かされて育ちました。わが子が被害者になることを心配する親はたくさんいますが、わが子が加害者になることを心配する親はあまり見かけません。嘘をついているんじゃないか、誰かをいじめているんじゃないか、何か悪いことをして隠しているんじゃないか・・・。もし実際にそういう時が来たら、子どもにどう接してやるのがいいのか、心の準備をしておくことは決して無駄ではないように思うのです。

 先日、東広島市立美術館で「あかいセミ」(福田岩緒作、文研出版)の原画を見るチャンスがありました。思わず消しゴムを盗んでしまった「ぼく」の苦しみ。その苦しみから救ってくれた大人の大きな愛情。小さい頃に大きな失敗や挫折をして、そこから立ち直った経験を持っている人は嘘いつわりのない大人になれる気がするのは私だけでしょうか。

ぼちぼちいこか

評価:
マイク・セイラー
偕成社
¥ 1,260
(1980-01)
成功は、たくさん失敗した人のために最後に用意されているごほうびだと思います。

(第四回)6月28日(土)掲載

わたしと、えほんと、こどもと、かぞく。

(第四回)

 ある育児書の表紙の仕事の打合せをするために、出版社とデザイン事務所にうかがうことになり、新幹線の中で十数年ぶりに育児書というものを読みました。嫌な予感はしたのですが、正直言ってへこみました。
「早く」「ダメ」「がんばれ」は「親が出す毒ガス」なんだそうです。まさにあの頃のわが家には私が吐いた「毒ガス」が充満していたのかと思うと、いまさらながらガックリです。

 東京で打合せがある時、私は実家に泊まり、家族で昔話に花を咲かせます。あるとき何かの弾みで私が小学一年生だった頃の話題になり、父に「おまえは時間割りをそろえるのに三十分以上かかっていたけど、なんであんなに時間がかかってたんだ?」と聞かれました。四十年も前のことを、今さらです。 

 私の勉強机は親と一緒の寝室の片隅にあり、ふすま一枚へだてた隣は茶の間でした。晩ご飯を食べたあと、机のそばで次の日の準備をしている私を、父はふすまをちょっとだけ開けてこっそりのぞいていたのです。じつに三十分以上もです!

まずは時間割の順番に教科書とノートをそろえて、ランドセルに入れます。すると、教科書とノートがでこぼこしているのが気になって、今度は教科書だけ、ノートだけに分けて入れ直します。いや待てよ?やっぱり時間割の順に入っていた方が便利かな?と、またやりなおしです。
 そんなことを毎日繰り返していたんだと話すと、「なぁんだ。心配して損したな。」と笑われました。
 それをずっとながめていただけの父に驚いたのは私の方です。そして心配はしても見守るだけで、そっとしておいてくれた父に心底感謝しました。今からでも父のように待つことができる親になれるかしら?

 思い返してみると、しつけにはうるさい家庭でしたが、自分で決めたことは尊重してくれていました。何でもすぐにやりたがるくせに、すぐ飽きてしまう私は、
何度も習い事を取っ換え引っ換えして、「やりきる」ということがありませんでした。
 そんな自分に劣等感を持っていたことを、家族が知っていたかどうかは分かりません。いつか何かに巡り合うだろうということを、大人は知っていたのかもしれません。そしてその予想通り、私はこの仕事に巡り合いました。

 「ぼちぼちいこか」(マイク=セイラー作、ロバート=グロスマン絵、今江祥智訳、偕成社)という大阪弁の絵本があります。カバくんに「たくさん失敗したらええやんか。ぼちぼちいこか、ということや。」となぐさめられているようで、読み終えたあとはいつも決まって温かい気持ちになるのです。



きょうの おべんとう なんだろな (幼児絵本シリーズ)

おかあさんの作ったお弁当は、ふたをあけるまで中身がわからない玉手箱。

(第三回)5月31日(土)掲載

わたしと、えほんと、こどもと、かぞく。
(第三回)

 目覚まし時計が鳴る前に、部屋に差し込んでくる朝の光のせいで目が覚めるようになりました。もったいない!でも、そろそろ起きて今日もお弁当作らなきゃ。布団の中で毎朝「あと5分、あと3分」と、ぐずぐずしているせいで、今日もまたドタバタのお弁当作りです。
 
 私の実家は当時でもめずらしい10人家族でした。母の朝のお弁当作りは一番多い時で6個。中でも私が好きだったのは、いなりずしのお弁当でした。おかずは半分に切ったゆでたまごだけ。ゆでたまごにいなりの味がしみているのがたまらなく美味しいのです。高校生のころに使っていたアルミの四角いお弁当箱は、今でも大事に持っています。

 聞くところによるとちまたでは「キャラ弁」なるものがはやっているそうですね。コンビニでお弁当が24時間買えるようになって、日本人の食事に対する意識が低くなったと聞きました。その反省から食事の大切さが見直され、手の込んだお弁当、「キャラ弁」がはやっているのかもしれません。お弁当箱のふたを開けた時の、子どもの笑顔が目に浮かびます。
 
 娘が幼稚園に入って数カ月たったころ、私は毎日楽しく幼稚園に行く娘にちょっとした疑問を抱きました。「この子はお母さんが恋しくないのかしら?」
 息子は「おうちに帰りたい!」と一度だけ大泣きしたことがあったのですが、娘はそういうことが全くなく、ケロッとしていたのです。気の短い私は、本人に直接聞いてみました。すると、予想もしなかった答えが返ってきました。
「あのね、お弁当があると、お母さんがそこにいるみたいで、寂しくないの。」
 
 それからの私はご想像の通りです。得意とは決して言えない料理ですが、夜のおかずが手抜きになろうとも、お弁当はできるだけがんばりました。
 小学校だけは給食でしたが、息子はとうとう高校を卒業するまで弁当を持っていきました。いつか来るであろう息子の反抗期に「いつでも来い!」という覚悟はしていたものの、大きく道をそれることがなかったのは、お弁当のおかげではないかと自負しています。娘も同じです。私の子育てがうまくいったとしたら、お弁当を一番の理由に挙げたいと思います。
 
 お弁当はお母さん。まさにそんな絵本があります。「きょうのおべんとうなんだろな」(きしだえりこ作、やまわきゆりこ絵、福音館書店)に登場する動物たちのお弁当には、好きなものしか入っていません。その子の好きなものを、その子にちょうどいい量でお弁当が作れるのは、お母さんだけなのです。


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中国新聞連載コラム「わたしと、えほんと、こどもと、かぞく。」
2008年3月から毎月最終土曜日に中国新聞に連載予定のコラムをブログでもご覧いただけるようにしました。 月末から翌月初旬に更新します。
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